捏造新聞

ただし朝日新聞ではない。

「お客様は神様です」の誤解

カスハラがひどいんだそうだ。まあ、育ちが悪い人が多いんだろう。当然のことながら頭も悪いはずだ。

三波春夫が言った「お客様は神様です」を、短絡的に「自分は神様」と変換してしまっているのだ。そもそもあの言葉は、「かつて、歌は神様に捧げるものだった。だから私は、神様に捧げているつもりで歌っている」という意味だったという。

まあ、三波春夫も悪い。ステージで調子こいて言ってしまったんだろう。頭の悪い人もいるんだから、その点は配慮して話すべきだったのだ。それができなかったせいで、今の働く人たちが苦労することになる。

少し考えればわかることで、私たちは1,000円のものを1,000円で買っているにすぎない。ほぼ等価交換なのである。客が偉そうにできる取引ではないのだ。

店の人に「ああ、この人は神様だ」と思われるためには、ただ商品を買ったり食ったりするだけでは無理なのだ。もちろん日本には古くから商いの精神があるから、客を気持ちよくさせる人がほとんどである。だが、だからと言って勘違いしてはいけないのだ。

本気で「神様だ」と思わせるには、せめて次のような行動が必要なのではないか。

「え、このラーメンがたったの700円だって!? いや、それは安すぎる。よし、私は1万円払おう。いやいや、遠慮する必要はない。とっておきたまえ」

そうしてこそ、店にとっての神様といえるのである。いや、さすがに神様とまでは言えないか。せいぜいお大尽様程度だろう。これが700円を払っただけなら、立場は対等なのだ。「ありがとうございました」と言ってもらえるだけ、ありがたいと思うべきなのである。

ちなみに私は、一度だけ、店主に対して怒ったことがある。まあ、店と言っても夜店だったのだが。タコ焼きを買ったのだが、それにタコが入っていなかったのだ。なんと入っていたのはキャベツの芯だった。

私は、店主の前でタコ焼きを叩きつけ、「タコが入ってないギャオ~ッ」と吠えたのである。さすがに食べ物を粗末に扱ったのは反省したのだが、いまだに思い出すと腹が立つ。

たこ焼き屋を営む人は気をつけていただきたい。タコだと思って食べたらキャベツの芯だった、と言うことほど腹立たしい食べ物には、私はいまだ出会ったことがない。