年末に面白かったニュースというと、やはり高島屋のクリスマスケーキ事件である。面白いというと被害者の方々には申し訳ないのだが、言ってみればたかがケーキだ。数年後には笑い話である。
特に面白かったのは、高島屋の専務だ。ケーキが崩れた原因などわかりきっているのに「原因の特定をするのは不可能」と記者会見で言い切ったのである。
イチゴの出荷が遅れ、そのせいで通常二週間の冷凍期間がほぼ一日に短縮されたと言っていたではないか。普通に考えれば、ケーキが崩れた原因はそのせいに決まっているのだ。冷凍しきれなかったケーキが、配送の途中でぐちゃぐちゃになったのである。
要は、高島屋としては責任の所在をはっきりさせたくなかっただけなんだろう。「サンプルを調べて問題がないことを確認した」などと言っていたらしいが、倉庫の中には数千個のケーキがあるのだぞ。
さらに専務が面白かったのは、「生産から流通までお客様にお届けするまでが弊社の責任。お客様への全責任は弊社にある」と会見の場で大見得を切ったことである。そう言っておけば、カッコが付くと思ったんだろう。
いやいやいや、原因を究明するという責任をあっさり放棄したくせに、いったいなぜ偉そうに責任を語ることができるのか。こんなことでは、高島屋はまたやる。きっとやる。来年もやるんじゃないか。
専務が言うべきことは、責任の所在よりも、どう責任を取るかなのだ。記者会見では、その質問は出なかったのだろうか。私だったら、ケーキ用のナイフを持参して、「これにてご免」とその場で腹を切るんだがなあ。
高島屋の代表として出ているんだから、そのくらいの覚悟がなくてどうする。そうしたパフォーマンスがあるからこそ、謝罪会見が盛り上がるのである。専務の言動は、実に残念と言うほかはない。さようなら、専務。いつまでもお元気で!